悪い夏・花束

2006年6月10日
ISBN:4061983083 文庫 吉行 淳之介 講談社 2002/09 ¥1,260

絶叫城殺人事件

2006年5月19日
ISBN:4101204330 文庫 有栖川 有栖 新潮社 2004/01 ¥620
ISBN:4167354020 文庫 山崎 章郎 文藝春秋 1996/05 ¥530

陰翳礼讃

2006年5月17日
ISBN:4122024137 文庫 谷崎 潤一郎 中央公論社 1995/09 ¥500

こころ

2006年5月10日
ISBN:4101010137 文庫 夏目 漱石 新潮社 1952/02 ¥380

言わずと知れた、夏目漱石の作品。
しかし話の筋を知らないという人は、多いのではないか。

私も実際、学校の授業で読むまでは、
どんな話か知らなかった。
もとい、昔の話には興味がなかったのか・・・。

タイトルの「こころ」は、
漱石が意図してつけたのではないという話である。
もともと短編小説だったものを、
長編に仕立て、それを一遍にまとめ、
その際にタイトルを如何しようか、という話になって
「こころ」と名づけられたのだそうだ。

しかし深く考えて付けられたものではないのに
どこか的を射ているようなところがある。
それぞれの人間の複雑な心理が、ぶつかり合って絡まりあって
混沌が生み出されていく。
その心の移り変わりが、まさにこの小説の主題であり、
タイトルは非常に似つかわしいのである。

登場人物に感情移入して、
そういった“苦悩”を味わうのも、良いかもしれない。

きらきらひかる

2006年5月2日
ISBN:4101339112 文庫 江國 香織 新潮社 1994/05 ¥420

アンチ江國香織になったきっかけの本。
寧ろ江國はこれだけしか読んだことがない。

内容もはっきり覚えていない。
嫌いなので思い出したくない。
家に本があるけれど、嫌いだから確認しに行きたくない。
なのでちゃんとしたレヴューにならない。
良いのか。いや、でもそれくらい勧める気にならないというのが
逆に実感を伴ったレヴューになっている。だと良いのだが。
ISBN:4901142445 単行本 雨海 弘美 アーティストハウス 2000/12 ¥1,260

外国文学を殆ど読まない私が珍しく興味を引かれ、
そして実際好い話だと思った話はそうないと思う。

以前に釈迦ラビが同じ題名の曲を出していた記憶があるが
そんな生半可な物ではない・・・好い話。

兎に角妹の果敢なさ、兄の妹への愛が、
何とも言い難い切なさと心の温もりを与えてくれる。

純愛というなら何故この本を挙げないのだろう・・・
という文句は前にも付けたが、実際明らかに「世界〜」「今〜」よりずっと良い話であるのは確実だと思う。
ISBN:4562039833 単行本 三津田 信三 原書房 2006/02 ¥1,995

amazonで偶然目に入った本。
その表紙に心を惹かれた。
禍々しい印象に、怪しげな表紙絵。
題名からしても、和風の怪奇譚を思い起こさせる様な
怪しい雰囲気漂う本だ、と思った。

実際本屋に行って、手にとって見てみたわけではないので
もしかしたら外れかもと思って購入希望を出して読んでみたら、
まさに衝撃だった。

ホラー&ミステリの小説だったのだが、
ホラーの要素も十分に出しつつ、
巧妙とはいかないまでも、しっかりとした筋のミステリだった。
しかも最後に意外な展開が用意され、隠された伏線が暴かれる。
彼の手腕は確かなようだ。

ただ、仕方のないこととは言っても、
ややしつこいと思われるような説明が長々と書かれていて
少々飽きる感じは否めない。
それもマニアックな憑き物信仰についての語りで
最初は面白いと思っていても、少し複雑で、
その上に、まだ全て掴みきれていない登場人物が絡んでくるので、
若干困惑してしまった。

それでも面白い話であり、意外な展開に、思わずにやりとしてしまう。
是非読んでみては。
ISBN:4198614164 単行本 仲村 明子 徳間書店 2001/09 ¥2,100

5、6年前に読んだ本だけれど、感銘を受けた記憶がある。

それまで、全くと言って良いほど犬に興味がなかった私が
この本のお陰で犬好きに目覚めた。というのは過言か。

ピットブルという犬と、彼の周りを取巻く人間たちの愛憎劇、
といえば言い過ぎなのだろうけれど、実際に研究者たちのエゴに振り回され、
ピュアな愛情に癒され、ピットブルのダミアンは育っていくのです。

欲に走った人間と、自然や生き物を愛した人間の対比を描いた作品でもあるのでしょうか。
しかも今更思えばお決まりに、ダミアンを愛した人間が瀕死に陥る。
自分を愛してくれた者には精一杯恩返しをする、
誠実な犬のお話であるのです。

純愛ブームにこの本が挙がらないのが不思議な気もする・・・。

イン・ザ・プール

2006年4月26日
ISBN:416320900X 単行本 奥田 英朗 文藝春秋 2002/05 ¥1,300

馬鹿馬鹿しい医者の話、といえばそれはそれまでかもしれない。

医学の道を志すものとしては、あんな医者、できれば居て欲しくない。
でも、実際、患者は救われている。
・・・いや、事例が事例だからかな。

本は表紙で選ぶから、これも表紙の綺麗さで、思わず買ってもらってしまった。
題名からして、ずっと水・プール関係の話が続くのかと思った。

しかしながら実際は、ある病院の二代目駄目院長の精神科医が
やってくる珍妙な患者によくわからない治療を施して
結局は治してしまうとかいうおかしな話である。

マイナーうけすればそれでいいか、とも思ったけれど
予想に反してこの『伊良部シリーズ』二作目の「空中ブランコ」で彼は、直木賞を受賞した。

何ともいえないチョイスだなと思う。
いや、何ともいえないというのはすなわち
「もっといいのがあったんじゃないか」という意味で・・・。

白河夜船

2006年4月22日
ISBN:4101359172 文庫 吉本 ばなな 新潮社 2002/09 ¥420

初めて吉本ばななの本を読んでみて、
人を見た目で判断してはいけないと思った。

吉本ばななといえば、
何かの本の著者紹介の写真で、パーマにチェーンつき眼鏡で両頬杖をついている写真を見て
何時の人だよ、と思ってしまったことがあって
それでなくても著者の名前からして
ばななって無いだろ、と偏見だらけだったのですが
友人が大ファンであるため、ちょっと手にとって見たわけです。

何冊かあったうちの一つで、面白そうだったので借りてみると

据わりが好くて、上品で、読み心地が良い文章でした。
なのに気に障る表現というか、上っ面な表現も無く、
とても肌に合いました。

やっとお薦めできる本に出会えたー。

パズル

2006年4月21日 コメント (2)
ISBN:4048735233 単行本 山田 悠介 角川書店 2004/06 ¥1,155

先日言っていた、山田悠介氏の作品。
帯(というより表紙)の文句に惹かれて読んでみたけれど・・・
シチュエーション以外皆、お決まり、という感じが否めない。

オカルトホラー、と呼ぶにしても、そこまで過激ではないし、
はっきり言って生ぬるい。
最後の展開にしても、期待するほどのどんでん返しもなく、
ではバッドエンドかと思えば普通の結末。
徹底して生温い・・・冷めたお風呂の様。

浸っていれば皮が水を含んでふやけてしまう。
彼の文章に飲まれると、感覚がふやけてしまう。
そんなオーバーラップが引き起こって仕方がない。
ISBN:4061848925 文庫 村上 春樹 講談社 1991/04 ¥490

村上春樹の良さがわからない。

これは悪いことなのか良いことなのか私自身も白黒付け難いけれど
兎に角私はこの手の文章に読む価値が果たしてあるのか
とても疑問に思う。

今日村上春樹の本が、人気なのだそうだ。
私も三年前、彼のこの小説の英訳版に出会い、読み解いた時には
面白そうだなと興味を引かれた。

しかしそれは、表面的なものだけだった、というわけだ。
たとえ一部分切り取って面白くても、全体じゃ一体何がしたいのかわからない。
主人公のやっていることがグダグダで
周りの自我が強かったり、でしゃばりな人間たちに振り回される主人公。
未だ彼の作品は二作しか読んだことはないけれど(それも彼嫌い故のことだが)
どちらにしろ主人公はあまり動作主体ではない気がする。
現代人はよく、受身とか受動的とか言われていて
(というような記憶だが、間違っていたら御免なさい謝ります)
そんな主人公に、上手く簡単にシンクロすることが出来るのだろう。

しかし、まるでスカスカで、色素が殆ど残っていない海面の様な小説であることに変わりはない、
と私は思う。

数年前に「ライ麦畑でつかまえて」の翻訳も手がけた様だが、
(真に勝手な解釈だけれど)サリンジャーは訳がさっぱりとしているからこそ
作品の崇高さ、奥深さが出るものであって
べたべたと張り付くような粘っこい訳は、
所詮無駄な装飾であるとしか考えられない。

インストール

2006年4月14日
ISBN:4309014372 単行本 綿矢 りさ 河出書房新社 2001/11 ¥1,050

金原ひとみに引き続き、ということで。
芥川賞受賞作家を出してきてみた。のだけれど。

彼女の作品は金原ひとみよりはある程度軽症だが
どちらかというと、本屋の漫画コーナーの片隅に寄せ集めてある
それなりの漫画を文章に起こしたというか。

実際は逆の現象が起こったわけだが(つまり小説の漫画化)

しかも映画にまでなった。
どこに映画にする価値があるのだろうか。
あんなの彼女の「あったらいいな妄想」の塊ではないか。
それを、キャストに重心を置いて実写化してしまった
という感じが否めない。
そもそも上戸彩が、17歳の心境云々という発言をしたから
そんな事の運びになったのだろうが・・・。

読んで悪いとまでは言わないが
読んでも「ふーん」としか言えないよきっと。

アッシュベイビー

2006年4月13日
ISBN:4087747018 単行本 金原 ひとみ 集英社 2004/04/27 ¥1,050

最悪。

その言葉しか出てこない。
どうしてこんな作家が芥川賞受賞作家なのか
理解に苦しむ。苦しみすぎて死んでしまいそう。
私の方がまともな文章書ける、という気までしてくる。

村上春樹のよりも読む価値なし。
「蛇にピアス」を読んだときからほぼそういう位置づけだったけれど
この本を読んで、明らかに格付けは下がった。

皆さん、読まないほうがいいですよ
(社会勉強程度に読むのは構わないけれど、お勧めは出来ません)
ISBN:4041040108 文庫 宮沢 賢治 角川書店 1996/03 ¥483

宮沢賢治の作品を読むのは結構久しぶり。
前は銀河鉄道の夜を読んだきりでしたので・・・。

この本は、全編に動植物が描かれ、人間は一切出てきません。
しかも殆どが教訓じみた話。
でも全然堅苦しくありません。
やっぱりそれは、宮沢賢治の文才のお陰、なのでしょうね。

そしてやっぱり光るのが、
その表現力や比喩です。
夜明け、朝焼け等の表現を鉱物の名を挙げて
綺麗な、キラキラした印象を与えているのは
何時読んでも素敵だな、と思ってしまいます。

また、死をストレートに言ってしまうのも賢治の特徴でしょう。
登場人物(植物・動物)たちは、天から制裁を加えられるべき者なら、いとも簡単に死んでしまいます。
恐ろしいほど簡単に死んでしまうところが、最初はなげやりで嫌だとも思ったのですが
それが彼なりの表現であるのだと思います。
ISBN:4061822330 新書 西尾 維新 講談社 2002/02 ¥1,029

最近西尾氏は、何かと祭り上げられている様な気がします。

巷ではよく、「戯言」という言葉を目にするようになりましたが、
それというのも全てこの、西尾維新が築いた「戯言使い」から広まったものです。

全部で9冊あるこのシリーズ。
全部を通して読んでみて思ったこと。
中心軸がずれています。
読者は知らず知らずのうちに彼(彼女?)の文体に引き込まれ、
どちらかというと文章の展開や、詭弁だけで世渡りをする「いーちゃん」(主人公)に心惹かれたのではないかと思うけれど、
実はこの話、出発点はミステリィだった。
なのに二作目からもう話の方向がずれてしまっていて。

要はミステリィ→大量殺戮→世界的対立
に発展していってしまった、そんな気がするのです。
約束破りの最強キャラまで登場するし
非現実的な半アンドロイドな人間も出てくる。

結局SFでしかなかったのではないか、
今はそう思って止みません。

確かに面白いです。文章の展開が言葉遊びになっていて、
読み進めやすいといえばそう。
時々インテリな人々が難しい理論を語っても、
なんとなく解ってしまうのは、それが簡単なことを言葉で複雑化させてしまっただけのものであったり。
(勿論そうでないものも存在しますが)

流行に乗る、という意味で一読しても良いとは思いますが、
最後まで読み終えたときに、
結局、この長い前置きは何?と言いたくなる位のあっさりとした、お決まりの結末なので、
それを承知の上で読むことをお勧めします。

(ただ、一冊一冊の間にある程度のブランクが存在するなら、
物語のスケールが大きすぎて、逆に最後には普通がないと落ちない、
のかもしれませんが)
ISBN:4062639246 文庫 森 博嗣 講談社 1998/12 ¥770

"THE PERFECT INSIDER"―完全なる内側、密室。
絶海の孤島の中の、最高技術を駆使したセキュリティに守られる研究所の中で
長年外に一歩も出ていなかった超天才研究者の殺害という、
何層もの密室が重なって出来た密室ミステリィ。

私は最初、本屋でこのシリーズの題名を見て一目惚れをし、
一冊だけ買ったものの、分厚い本が苦手だったので、
暫く読まずに居たんですが、
手を付け始めた途端、どんどん話に引き込まれました。
眠りたくない、と思った本はこれが初めてだったかもしれません。
それだけ、魅力的で、話に引き込まれてしまうのです。

以前に「スカイ・クロラ」をご紹介しましたが、
それとは一味も二味も異なる、本格派ミステリィですし、
トリックもしっかりしていて、それなのにとっつきやすいです。

凄くお勧めします。

殺し屋シュウ

2006年3月26日
ISBN:4344003446 単行本 野沢 尚 幻冬舎 2003/05 ¥1,680

野沢氏は、比較的最近にお亡くなりになられた方です。
あの時は確か・・・まとまって三人くらい亡くなられた・・・。
そんな野沢氏の作品は、私は読んだことがなく。
寧ろ亡くなったことでその存在を知り、
この本を手にしました。

この本を読み終わったとき、
なんとも言えない気持ちが心に残りました。
言葉に言い表せないけれど、
しこりのようなわだかまりが。
結局これは、野沢氏が遺した、
現代を切り取った悲しさ・虚しさなのかもしれません。

銃劇やカクテル、激しい夜、狂気に塗れた世界ですが
お気に召されたならどうぞお読みになってください。

ターゲット

2006年3月24日
ISBN:4101282196 文庫 清水 義範 新潮社 2000/04 ¥500

清水氏との出逢いは、私が一回りほど小さかった頃。
中学受験の塾の問題文に同著者の「どうころんでも社会科」が使われていました。
私は一目惚れしました。
恐らく人生で初めて、これは面白い、と思った作家です。
近くの図書館に行って「どうころんでも〜」シリーズを
遅読ながらに読み漁り、どんどんはまっていったものです。
今では内容の一部すらも覚えていないのですが、
こちらもお勧めです。

さて本作ですが。
清水氏の本流は、なんと言ってもパロディ、パスティーシュ。
こんな分野があって良いのか、と最初は思いましたが、
読んでみると割合面白いのです。
はっきり言えば生ぬるいホラーなのですが、
生ぬるいだけに意外と現実味もあって、
いい作品だと思います。

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